山根一純の「伴天風水」デザインで
たてる住宅

火災による死亡者の真実【前編】

2022年06月10日

「伴天風水」創設者の山根維随です。

前回は、本当に合板にそれほどの強度があるのでしょうか?について記事にしました。

今回は「火災による死亡者の真実」について書きます。

まず、出火件数を見ると、1970年をピークに、ほぼ横ばい状態が続いているにも関わらず、死亡者数は急増し、それ以前の2、3倍もの数字を示しています。

小林氏は論文の中で「出火件数が減少しているにも関わらず火災による死者が急増しているのはなぜか?」と問いかけ、「煙にまかれて逃げ遅れたり、 Co 中毒や窒息などによって死亡する者が増加したことも大きな要因と考えられている」とした上で煙死者が増えた原因を次のように分析しています。

燃焼時に多量の煙や有毒ガスを発生する化学製品が建物内部に大量に用いられるようになった一方で、建物の密閉構造化が進み、不完全燃焼により Co が発生しやすくなったり、発生した有毒ガスが建物内部に滞留しがちになったためであると考える。

小林恭一氏「建物火災による燃焼生成物の毒性」より引用

しかし、消防庁が公表する火災による死者の死因を見ると、小林氏の推論は当てはまらないのです。
建物の密閉構造化や化学製品の使用状況が進んでいるにもかかわらず、一酸化炭素中毒による死者の比率は逆に下がり、火傷による死者数の比率が増え、1971年には、その数字が逆転しています。

この、一件矛盾する統計結果は、死因の決定方位にあるのです。検死では「一酸化炭素中毒及び窒息」は文字通り、一酸化炭素による中毒、窒息、酸欠が死亡の直接原因であるものであり、他の有毒ガスによる死亡は含まれていません。

「火傷」には何らかの原因によって身動きできなくなって焼死したケースも、一酸化炭素中毒や飛び降りなどの「打撲骨折」以外の理由で死亡した後に死体が焼けたケースも含まれるのです。

そこで小林氏は、大量に使用されている化学製品が火災時に一酸化炭素以外の有毒ガスを大量に発生させ、それによって死亡した後に焼けたりするケースが増えるのではないか、そのため、「火傷」の比率が増えて「一酸化炭素中毒・窒息」に比率が減少するのではないかと仮説を立てています。

そして、昭和40年代にこうした逆転現象が起きているのは、住宅に科学製品が大量に用いられるようになったからではないかと推論しています。

そして、煙や有毒ガスへの耐性がとくに弱い高齢者の急増は、住宅火災の死者の増加へとつながり大きな社会問題となりうると論じています。

この記事の執筆者

山根 一純

もくもく村創始者
NPO法人 幸せな家づくり
研究会理事長

山根 一純やまね いずみ

昭和60年4月、環境保全業を立ち上げると、日本でも住環境が注目されるようになり、私は意を決して「もくもく村」を創設しました。健康な生活は住まいからという信念で、当時問題となっていた「シックハウス症候群」を一切排除しようと立ち上がったのです。

元来、日本には春、夏、秋、冬という季節に合わせた先人たちの住まいの工夫がありました。今では生活が便利さを追求するあまり、私たちの身の回りには化学物質があふれ、かつてはなかったような病気に悩まされています。それは私たちの生活の基盤である「住まい」にまで及んでいます。

新築、リフォーム、転居などで、住宅に使用されるホルムアルデヒドなどの化学物質によって引き起こされるアレルギー症状が、今でも私たち、子どもたちを脅かしています。安価で便利な化学物質を使用した工業製品による健康被害をどう解決していくべきかという問題は深刻なのです。

私は、日本の四季に合った、住まう地域に合わせた先人たちの住まいの知恵を取り入れた家づくりに注目しました。森に囲まれた自然環境と暮らしの展示場「もくもく村」を開設したのは、私のそんな思いからなのです。

ご来村された皆さんに、「健康で幸せな家族」になるためには「安心できる家」があってこそ、という思いを共有していただきたいからです。そのために、行っているのが有害な化学物質を一切排除し、工務店では不可能に近いといわれる「完全無添加住宅」のご提案です。

風水デザイン設計で細部までこだわるゆえに、柱の数の多さは、他社と比べてはるかに多い。どこまでも妥協しない家づくりです。住む家族みんなが自然素材の持つエネルギーにつつまれて、心身そのものが本来の健やかさを取り戻します。

さらに「水や木にも心が宿る」言霊を信じている私にとって、住まうご家族のことを思う心を一本一本、新築の木々に念願することによってご家族をお守りすることができることを強く信じております。

このことは科学的根拠という領域をはるかに超えた、哲学的な直観領域です。その直感力を高めてくれるのが「私たちはおおいなる命の循環の中に在る」ということを常に感じさせてくれるこの地の大自然です。

「もくもく村」は、大地の匂いのする家づくりを皆様にご体感していただける唯一の森の中の総合展示場となっています。