山根一純の「伴天風水」デザインで
たてる住宅

本当に合板にそれほどの強度があるのでしょうか?

2022年06月03日

「伴天風水」創設者の山根維随です。

前回は、火災に強い!省令準耐火の家をおすすめする理由とは
について記事にしました。

今回は「なぜ家の安全性は正確に報道されないのか」について書きます。

私がこれまで書いてきたことに対して

「え?本当ですか?聞いたことがないですよ」

といぶかる方もいらっしゃるかと思います。

・26年しかもたない家に35年ローンを支払っている
・接着剤だらけの家づくりが氾濫している
・耐震実験で耐震等級2の長期優良住宅が倒壊し、耐震等級1の従来工法の家は倒壊しなかった
・多くの建材から火災時に有毒ガスが発生する。生死の境目はわずか2分
・煙に巻かれて(一酸化炭素中毒で)犠牲になったといわれているが、実際は青酸ガスに寄るものである上記のことは、ほとんどの人が知らなかったと思います。

そして、なぜかこうした事実は隠されてしまうのです。
防災科学研究所の耐震実験はYouTubeにも映像が載っていましたが、いまは削除されています。(一部見ることができるものもあります) 

その後、マスコミがこれを大きく取り上げる事もありませんし、こうした事実を糾弾する研究者もいません。

おかしいと思いませんか?
こんな大事な、命にかかわる問題が、全く報道されないなんて信じがたい!

これは遡れば1981年の建築基準法施行令改正にまで遡ります。言葉は「改正」ですが、これはまったくの「改悪」です。 

この改正は1978年の宮崎県沖地震を受けて木造住宅の耐震性を上げるために実施されたもので、「新耐震設計基準」と呼ばれています。
最近、地震被害の想定が見直されていますが、よく「1981年以前の建物の倒壊率が高い」と報じられるのは、この新耐震以前の建物の耐震性が弱いということです。

それでも私が「改悪」というのは、この時に、地震に耐える必要壁量が変更になり、その壁材に構造用合板や石膏ボードなども地震強度があるとされたことです。
地震がほとんどない欧米で開発されたツーバイフォー工法を取り入れる必要があったためなのです。

ツーバイフォー工法は柱や梁といった軸組で地震を受けるのではなく、壁全体で地震力を受ける構造です。
そのため、地震に強いと言われています。
古い木造軸組家屋は多く倒壊しましたが、ツーバイフォー工法で建てられた異人館にほとんど被害がなかったと報じられました。
それが、論拠にもなっています。

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本当に合板にそれほどの強度があるのでしょうか?

本当に耐力壁どうして問題がないのか、私には疑問です。
というのも、私が正倉院式ログという木組の特許を取得するために県の試験場で様々な種類の壁を崩す実験をしたことがあるからです。

正倉院式ログの木組み、通常のログ、筋交い、合板の、それぞれで作った壁に応力をかけて測定しました。

その結果は・・・
合板の壁は少し壁が変形した時に「バーン」と大音響をあげて釘が飛んでしまったのです。
筋交いの壁はその途中で応力に減ずるとまた元に帰り、さらに強い応力をかけると壊れました。

筋交いで600 kg、 ログで1000 kg まで耐えました。正倉院式ログは4000 kg でも壊れず、結局測定機器の測定不能という状況で終了しました。
私自身が行った実験の結果を目の当たりにして「やはり合板は駄目だ」と確信したのです。

常に自身の脅威にさらされてきている日本に、地震の切迫性があまり高くない欧米の基準を取り入れることが妥当だとはどうしても思えません。
そういう圧力がかかっていたのでしょうか?

そしてこの流れは、平成12年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」でさらに悪い方に定着しつつあります。
ここで明示されているのは「耐震等級」です。

その基準は、数百年に1度発生する地震 (東京では震度6から震度7程度)の1.25倍の地震力に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震(東京では震度5程度)の1.25倍の地震力に対して損傷しない程度という目安になっています。(数字は耐震等級2のもの。カッコ内の数字が耐震等級3)

この目安をクリアするために多くの合板や石膏ボードが使われているんです。
その結果、住宅の耐震性が大きく向上するのであれば、私は何も言いません。

しかし、実際に実験してみたら、私が行った実験では合板がもっとも脆弱であり、防災科学研究所の実験でも合板を使った長期優良住宅仕様の家が崩れ落ちてしまう。実験の映像を見れば、一階部分の壁が崩れ、2階、3階部分がそのまま落ちて横倒しになってしまった訳ですから・・・

流石に実験当時は報道もされました。
それでも実験を行った専門家が「倒壊はしたが、時間的には随分遅れて倒壊した」「実験の条件に左右された可能性がある」などど科学的ではない言い訳をし、あまつさえ「耐震基準を見直す必要はない」と言ったことに唖然としました。

この記事の執筆者

山根 一純

もくもく村創始者
NPO法人 幸せな家づくり
研究会理事長

山根 一純やまね いずみ

昭和60年4月、環境保全業を立ち上げると、日本でも住環境が注目されるようになり、私は意を決して「もくもく村」を創設しました。健康な生活は住まいからという信念で、当時問題となっていた「シックハウス症候群」を一切排除しようと立ち上がったのです。

元来、日本には春、夏、秋、冬という季節に合わせた先人たちの住まいの工夫がありました。今では生活が便利さを追求するあまり、私たちの身の回りには化学物質があふれ、かつてはなかったような病気に悩まされています。それは私たちの生活の基盤である「住まい」にまで及んでいます。

新築、リフォーム、転居などで、住宅に使用されるホルムアルデヒドなどの化学物質によって引き起こされるアレルギー症状が、今でも私たち、子どもたちを脅かしています。安価で便利な化学物質を使用した工業製品による健康被害をどう解決していくべきかという問題は深刻なのです。

私は、日本の四季に合った、住まう地域に合わせた先人たちの住まいの知恵を取り入れた家づくりに注目しました。森に囲まれた自然環境と暮らしの展示場「もくもく村」を開設したのは、私のそんな思いからなのです。

ご来村された皆さんに、「健康で幸せな家族」になるためには「安心できる家」があってこそ、という思いを共有していただきたいからです。そのために、行っているのが有害な化学物質を一切排除し、工務店では不可能に近いといわれる「完全無添加住宅」のご提案です。

風水デザイン設計で細部までこだわるゆえに、柱の数の多さは、他社と比べてはるかに多い。どこまでも妥協しない家づくりです。住む家族みんなが自然素材の持つエネルギーにつつまれて、心身そのものが本来の健やかさを取り戻します。

さらに「水や木にも心が宿る」言霊を信じている私にとって、住まうご家族のことを思う心を一本一本、新築の木々に念願することによってご家族をお守りすることができることを強く信じております。

このことは科学的根拠という領域をはるかに超えた、哲学的な直観領域です。その直感力を高めてくれるのが「私たちはおおいなる命の循環の中に在る」ということを常に感じさせてくれるこの地の大自然です。

「もくもく村」は、大地の匂いのする家づくりを皆様にご体感していただける唯一の森の中の総合展示場となっています。